Intro温故知新を愉しむ
和詩倶楽部は、和紙卸元に勤めていた故田中文男により、昭和四十五年に創業致しました。寺社に使用する経本和紙や全国のきもの店向けに誂える「たとう紙(きものを収納するもの)」や市内の小売店舗向けに工芸品を制作したり、市内の料理店、菓子匠向けに包み紙や箱を製作し、油小路二条の地を拠点に現在に至っております。
京都にて日々の製作に携わらせて頂いている中で、寺社も商店も商社もまた人も、その素材より生み出されて来るモノの何気ない部分に至るまで、「京もの」と云われる何時からか伝わる、感謝を示す色目、意匠、形などのデザインに智恵という心遣いが在ることに気付かされます。 例えば、当店にて人気のぽち袋は、元より御懐紙を折り、駄賃やおひねりとして使用されたと云われています。お金は多ければ偉そう、少なすぎればケチに見えます。またお金を渡すと言う、相手にとって、ぞんざいに見える行為を、小さい吉兆絵柄を封面に表現することによって、「今はお渡しする物が無いので、これっぽっちの気持ちとしてお渡し致します。」という吉縁に転換する小物として、生み出された智恵のひとつです。
そうした何気ないけど、嬉しく思える、古き良き心遣いを組み込んだ「京もの」と呼ばれる意匠を表現すべく、京・東山高台寺 圓徳院境内にて平成二十三年より、オリジナルで誂えた和紙の逸品ものを揃えた店舗も構えさせて頂き、さらに現在国内の名所や百貨店で開催される京都展・職人展、名店販売会、プロモーション売場にて販売展開致しております。 お懐紙、のし紙、御見おさえ紙・・・和詩倶楽部で生み出された逸品は、「この後、良くなる小吉絵柄、「吉兆絵柄」に纏わせております。そうした古くて新しい、そして愉しい「温故知新」の息吹を現代に発信しようと考えております。